ビジョン百科

Vision Encyclopedia

キッザニアの人気は、ビジョンに支えられていた。

KCJ GROUP株式会社 取締役専務執行役員 企画管理本部長

上林 恭一さま

こどもが大人になりきって職業体験できる「キッザニア」を企画・運営。様々なスポンサー企業が出展するパビリオンはリアルそのもの。年間来場者数は150万人を超える。

エデュテインメントを通じて、こども達の生きる力を育む

メキシコで生まれ、いまや世界中に展開しているキッザニア。「こども達の生きる力を育む」というビジョンを掲げているのは日本独自のものとのこと。このビジョンが施設づくりやスタッフ教育、採用にどのように落とし込まれているのか、お話を伺いました。

podcastで視聴する

本物感のある施設づくりを徹底しています。

キッザニアは、こどもが大人になりきって、大人の世界を体験する職業・社会体験施設。施設づくりは徹底しています。入場するとまず、そこには夕暮れどきの街が広がっています。ふだん出歩けない時間帯を再現し、大人になった気分を演出するためです。建物のスケールは、現実社会の約3分の2に統一。大人が見ているのと同じ感覚で、世界を見てもらうためです。着るユニフォームや使う道具も、できるだけ本物に近いものを用意。これも、職業体験にリアリティをもたせるための工夫です。仕事後に渡す「お給料」もそう。銀行に貯金できたり、デパートでお買い物できたりと、現実世界さながらの設定にこだわっているのです。

接客を極めるのに、最低2年はかかります。

「エデュテインメント」は、エデュケーションとエンターテインメントを組み合わせた造語です。遊びを通じて、仕事の意味や世の中の仕組みを学んでもらいたい。そして、生きる力――例えばコミュニケーション力や、最後までやり遂げる力――を育んでほしい。このビジョンは当然、スタッフの接客にも落としこまれています。ヒントをほどよく与えつつも、口出ししすぎないようにする。ちょうどいい塩梅でこども達を誘導するスキルが求められます。研修期間は2、3週間だけど、本当に極めるまでに最低2年はかかります。私も研修を受けて、デパートの店員ができるようになりました。でも、現場のスタッフはほんとにすごい。とても敵いません。

キッザニアのスタッフは、「学び」を贈るひと。

スタッフは、東京と甲子園で約1000人ずつ。アルバイトが多いけれど、契約社員、社員という道もあります。このうち9割以上が女性スタッフなんです。世界中に展開するキッザニアの中でも、日本は特殊ですね。こどもが大好きというひとが応募してくるので、保育士経験者も多く含まれます。スタッフに求めるのは、ビジョンへの共感です。キッザニアは、ただ遊ぶ場所ではなく、学びや気づきを持ちかえってもらうための場所。その点に共感できるひとに働いてほしいと思います。時代によって、仕事の中身は変わる。子どもの興味や、将来に対する考え方も変わる。それに合わせて、キッザニアも変わっていかなければいけないのです。